一人暮らしの成人は抑うつ感を抱く傾向が強い
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
一人暮らしの成人は、同居人のいる成人に比べて抑うつ感を抱きやすいとする報告が、米国立保健統計センター(NCHS)が発行する「National Health Statistics Reports」に2024年2月15日掲載された1。
NCHSのLaryssa Mykytaらは、2021年の米国国民健康調査(National Health Interview Survey;NHIS)のデータ(調査参加者数29,482人)を用いて、18歳以上の成人を対象に、抑うつ感の抱きやすさが一人暮らしか同居人がいるかによって異なるかを調べた。分析の際には、社会人口統計学的属性および社会的・感情的支援を受ける頻度も考慮に入れ、それぞれ数レベルに分けて検討した。社会人口統計学的属性として、年齢(18〜29歳、30〜44歳、45〜64歳、65歳以上)、性別、人種(非ヒスパニック系のアジア系・黒人・白人・その他、ヒスパニック系)、世帯収入〔連邦貧困水準(FPL)*aの100%未満、100〜199%、200〜399%、400%以上〕を取り上げた。社会的・感情的支援を受ける頻度は「常に/たいてい/時々/まれに・受けない」のいずれかに分けた。NHISの重み付けを使用して「抑うつ感あり」の率を推定し、Korn-Graubard法により95%信頼区間(CI)を算出した。
対象者の16.0%が一人暮らしをしていた。一人暮らしの者は、同居人がいる者に比べ、年齢が高く(65歳以上の割合:39.2%対18.9%)、世帯収入がFPLの200%以下である場合が多く(34.2%対26.1%)、社会的・感情的支援を受ける頻度が「まれに・受けない」である者が多かった(10.9%対6.1%)。
「抑うつ感あり」の割合は、一人暮らしの者の方が同居人がいる者より高かった(6.4%対4.1%)。この傾向は、男女とも、黒人でも白人でもヒスパニック系でも、また世帯収入にかかわりなく認められた*b。また、社会的・精神的支援を受ける頻度が「まれに・受けない」である者のうち、「抑うつ感あり」の割合は、一人暮らしの者で19.6%と、同居人がいる者での11.6%であった。ところが、社会的・感情的支援を受ける頻度が「時々」「たいてい」「常に」である者においては、一人暮らしの者と同居人がいる者との間で、「抑うつ感あり」の割合に有意差はなかった。
著者らは、「一人暮らしの者は、同居人がいる者より、抑うつ感を抱きやすいことが判明し、かつこれは諸条件に関わらず認められた。社会的・感情的支援は健康を守る効果があることから、今後の研究では、社会的・感情的支援、一人暮らし、および健康アウトカムの間の関係を明確にすべきだろう」と述べている。(HealthDay News 2024年2月15日)
注釈
*a
FPL(Federal Poverty Level;連邦貧困水準)は、米政府により毎年更新される貧困所得水準の指標で、家族構成と所得に基づいて算出される(世帯収入が高いほどパーセンテージが上昇)。
*b
(一人暮らし対同居人がいる場合)
女性:6.6%(95%CI 5.9-7.0)対4.9%(同4.4-5.4)
男性:6.3%(同5.5-7.1)対3.2%(同2.8-3、7)
非ヒスパニック系の黒人:6.7%(同5.2–8.5)対4.5%(同3.5–5.7)
非ヒスパニック系の白人:6.3%(同5.7–7.0)対4.3%(同3.9–4.8)
その他:9.6%(同5.8–14.7)対7.9%(同5.1–11.4)
ヒスパニック系:7.3%(同5.5–9.4)対3.2%(同2.6–3.8)
FPL未満:14.0%(同11.7–16.2)対8.7%(同7.1–10.3)
FPLの100~199%:8.7%(同7.4–10.0)対6.4%(同5.4–7.5)
FPLの200~399%:5.2%(同4.3–6.2)対4.0%(同3.4–4.6)
FPLの400%以上:3.2%(同2.6–3.9)対2.4%(同2.0–2.7)
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