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第9回 Progress in Mind Japan RC Webinar 「周産期メンタルヘルス~精神科医が出来ること~」 |
開催日時 | 2024年8月6日(火)18:30~19:30 |
座長 | 根本清貴先生 (筑波大学医学医療系精神医学 准教授) |
演者 | 菊地紗耶先生 (東北大学大学院医学系研究科 精神神経学分野 准教授) 清野仁美先生 (兵庫医科大学 精神神経科学講座 講師) |
プログラム
第1部 講演
「妊産婦が利用可能な社会資源up to date」 菊地紗耶先生
妊産婦が享受できるメンタルヘルス支援について、最新の知見を紹介した。
【家庭内の育児支援】
● 家庭内の育児支援としては、夫の育児休暇、里帰り、家族の手伝いなどがある。
- 夫の育児休暇:日本人男性の育休取得率は低いが、ここ数年急激に上昇(13.9%:2021年)している1。さらに2022年10月の育児休業制度の改正(継続雇用期間1年以上の縛りが撤廃)と「産後パパ育休(産後8週以内)」の創設により、今後は産後早期に育休を取得する男性が増える可能性がある。しかし役割分担がうまくいかず、夫の「休暇」になってしまうこともある。このため早い段階から、育児休暇中の家事育児の役割分担を話し合う必要がある。
- 里帰り、家族の手伝い:実母や義母の支援は、親子の関係性や、親の年齢・健康の問題により難しい場合もある。
【地域母子保健による支援】
● 産科や地域母子保健では、妊娠中からメンタルヘルススクリーニングや育児支援者の有無や経済的問題等の心理社会的リスク因子の評価が行われている。妊娠中~産後1か月までは、両者が必要に応じて情報共有やケアを行うが、産後1か月健診を過ぎると産科は終診となり、支援の主体は地域母子保健に移る。
● 地域母子保健のメンタルヘルス支援としては以下のものがある。
名称 | 対象 | 内容 |
---|---|---|
母子手帳交付時面談 | 全員 | 心理社会的背景の評価や相談 自治体で受けられる 育児支援サービスについて パンフレット等配布 |
伴走型相談支援事業 | 希望者 | 保健師や助産師による訪問や相談 (妊娠中2回、産後1回) |
乳児家庭全戸訪問事業 | 全員 | 子どもの発達や母親のメンタルヘルス、 ボンディングの評価 |
養育支援訪問事業 | 希望者・ 必要な方 |
新生児訪問後継続的な支援や 見守りが必要なケースは 継続的に関わる |
【産後に誰でも利用できるリソース(育児支援)】
● 地域母子保健のメンタルヘルス支援と育児支援の両者にかなりの重なりはあるが、メンタルヘルス支援の中心は、地域母子保健の保健師や助産師であり、他機関との調整の役割も担う。育児支援の中心は、育児ヘルパー、産後ケアを提供する病院/助産院のスタッフ、保育士(保育所)である。
● 産後に使用できる育児支援としては以下のものがある。
育児ヘルパー | 自治体の補助により 育児・家事の援助が受けられる。 |
産後ケア | 訪問型・通所型・宿泊型があり、 助産師によるケアや育児相談が受けられる。 |
保育所 | 保護者に疾病・障がいがあり、 医師の診断書があれば、就労していなくても利用可能。 |
乳児院 | 子育て短期支援事業としてショートステイを行っている。 |
【精神科ユーザーが利用できるリソース】
● 精神疾患をお持ちの方が使用できる支援として以下のものがある。
- 精神科訪問介護:産科退院後の見守り体制の一つで、利用には精神科主治医による訪問看護指示書の作成が必要となる。通常は週3日が上限だが、特別訪問看護指示書を作成すれば週4日以上も可能。
- ヘルパー(居宅介護):精神障害者保健福祉手帳があれば利用可能。手帳がない場合は、障害区分認定が決定されてからの利用となるため時間がかかる。
【最近の動向】
● 妊産婦のメンタルヘルスに関するネットワーク構築事業やこども家庭センターが設立されている。
- 妊産婦のメンタルヘルスに関するネットワーク構築事業2:令和5年12月に発表され、拠点病院や都道府県、関係者・関係機関による協議会を設置開催し、情報の共有、地域における連携体制・役割分担の決定など、妊産婦のメンタルヘルスの課題に対応する体制の整備を行う。
- こども家庭センターの設立3:令和6年4月に児童福祉法の一部改正に基づき設立される。母子保健ではあるが児童福祉が連携協力し、ワンストップ的な立場の役割がある。
【Take Home Message】
精神科医も周産期には行政にて様々な育児支援があることを知っていただき、特に家族の支援が少ないケース、行政の支援を受け入れるのに抵抗があるケースに対して、少しでも支援を受け入れてもらえるよう、利用可能な支援と妊産婦さんとの間を繋いでほしい。
「精神科臨床における妊産婦への対応~親になることを支えるアプローチ~」 清野仁美先生
妊産婦の脳の変化と精神疾患発症との関連を踏まえ、精神科臨床におけるアセスメントやShared Decision Making(SDM)のポイントについて講演した。
【母親脳とメンタルヘルス】
● 妊娠後期~産後数か月の母親において、ウィニコットの「原初的母性的没頭」と言われる保護と世話を必要とする乳児と自分を同一化させて盲目的に育児に没頭し、感受性が高まり、乳児に意識を集中する心の状態が生じる。母親の育児への没頭、同一化が子どもの万能感を育むが、絶対的な責任を負う母親に、周囲への警戒、恐怖、不安が生じやすい4。その際社会的認知に関与する領域の灰白質の体積が減少し、自分の子どもの姿、泣き声に対する扁桃体領域の反応の高まり、危険察知能力が高まる一方、子ども以外へのアンへドニア、記憶力の低下、合理的思考の困難が認められる5,6,7,8。このような脳の一時的な変化は、母親役割への適応的な変化と捉えられるが、精神疾患発症への脆弱性を合わせ持っている。さらには、脆弱性にソーシャルサポートのなさ、ネガティブなライフイベント、精神疾患の既往、そして遺伝的な素因などが重なり合うと、実に高い割合でうつ病や不安症(それぞれ10人に1~2人)を発症すると言われている9。
【周産期の変化への対応】
● 周産期は子どもをはじめ、妊婦・母親としての役割、パートナー・家族・友人との関係性、新しい環境(転居、同居、子ども中心生活)などを新しく得る体験である一方で、これまでの役割(母親、妻、娘、社会人)、パートナー・家族・友人との関係性、慣れ親しんだ環境などの喪失体験も味わう。
● 周産期の様々な変化に適応するには、
①失うものを捉える(これまでの役割や愛着の対象を過大評価・過小評価している場合は調整する)
②感情の表出(怒り、悲しみ、不安など、失う体験に対する感情の表出を促す)
③親役割への適応(母親役への期待と現実をアセスメントし、「こうあるべき」という憶測を修正しつつ、援助の求め方や受け入れ方を探る)のプロセスを支援することが重要である。
● スターンは、周産期は建設的危機であると述べている10。周産期において、それまでのアイデンティティ(自分らしさ)がいったん揺らぎ、それをうまく乗り越えていくと、新しい自分と出会う。また、周産期には親との関係性における問題(傷つき)が顕在化しやすい時期であり、自らが虐待された経験やトラウマがよみがえり、親としての自分に自信が持てなかったり、子どもの要求に対して敵対的な反応が見られたり、無力な反応などが生じる。
しかしながら、周産期はそのようなトラウマの癒しを得る機会でもある。セルフネグレクトの状態にある彼女たちの健康状態(栄養、禁煙、禁酒、薬の適正使用、健診)を改善し、親との関係性において傷ついてきたトラウマを、周産期に出会う新たな支援者のサポートを得ることで癒しを得る機会にもなる。さらに頼っても良い、信頼しても良い、自分には生きる価値があると思えるようになり、人と繋がり成長する機会となっていくと考えられる11。
【精神科臨床におけるアプローチ】
● 精神科臨床は、通常のアセスメントに加え、
①妊娠・出産・育児をどのように体験しているかに視点を置く。社会的、心理的、身体的変化に対する思い(喜べない、不安、嫌悪など)の背景要因は何か(夫との関係、過去の体験など)を捉える。
②親としての役割の適応力があるかを見極める。これは実際の養育スキルだけでなく、知的能力、発達特性、社会生活スキル、援助希求スキル、対人関係の安定性、愛着パターン、逆境的小児期体験の影響など親役割に適応するうえで重要な因子をアセスメントする。
③周産期特有の精神疾患ではないかを確認する。狭義の周産期うつ病、産褥精神病、D-MER(不快性射乳反射)、Traumatic Birth、Tokophobia (分娩恐怖)、ペリネイタル・ロスなど周産期特有の変化ではないかという視点でのアセスメントも重要である。
● アセスメントを基にSDMを実施する。そのポイントとしては、
①心理教育:妊産婦特有の心理、母親のメンタルヘルスの重要性、禁酒・禁煙・栄養指導疾患教育、周産期における精神疾患の悪化・再発リスク、服薬の必要性などを伝える。
②わかりやすく十分な情報提供を行う:特に治療のリスクとベネフィット、ベースラインリスク(先天異常の自然発生率)、薬剤による新生児不適応症候群や長期的な神経発達などへの影響についてはわかりやすく説明をする。
③本人の意向を尊重する:双方向性に話し合ったうえで自律的な意思決定を目指し、自己決定による不安や罪悪感を和らげ、悪化時の対応に備える。
【まとめ-精神科臨床において親になることを支えるために】
精神科臨床において、妊産婦とパートナーが親になっていくことを支えるために、まず母親脳、妊産婦心理を理解する。周産期は、心理的危機、精神疾患発症への脆弱性を持つ時期ではあるが、その一方で建設的、適応的な変化をもたらす時期であり、過去の様々なトラウマを癒す機会にもなる。さらには、子の親になる第1歩目と捉え、彼女たちが自律的な意思を持って決めることを促し、その意思を尊重する。そこには子どもを大切に思う親として承認し、自己肯定感を高めるアプローチが重要になると考えられる。
第2部 ディスカッション
視聴者よりいただいた質問や第一部の講演を踏まえてディスカッションした。
Topic1:コロナ禍でのサポート体制の工夫
菊地先生:コロナ禍では集団での妊婦教室、健診の付き添いや立ち会い出産ができない、面会が制限されるなどの影響がありましたが、妊婦教室などは助産師が個別に対応するなどの工夫をしていました。
清野先生:私の勤務先ではオンラインで両親学級を行っていました。妊産婦を孤立させないことが重要ですので、父親も参加しやすいオンラインでのサポートは有用だと思います。
根本先生:精神科でもコロナ禍前より夫が診察に付き添うケースが増えたように感じます。そこで夫の困り事を聞く工夫もされていると思います。
Topic2:妊産婦が利用可能なサポートの認知度
菊地先生:基本的には全ての妊婦を対象に、母子手帳交付時の面談で、どんな支援があるかが案内されますが、他にも多くの書類が渡されるので、重要な情報が埋もれてしまうこともあるかもしれません。いざ支援が必要な時には忘れてしまっていることも多く見受けられます。精神科の診察時に「こんな支援があるよ」と、本日ご紹介した妊産婦が利用可能なサポートについてご提案いただくことで、支援に繋がるケースもあると思います。
根本先生:第1子の場合はママ友達も少ないため、私たちから他のママさんが利用している支援について伝えてあげるのも良いですね。
菊地先生:例えば育児ヘルパーは自治体によって料金や利用日数・期間などが異なりますが、具体的に1時間当たりの利用料などを伝えると、よりイメージがつきやすいようです。
Topic3:ボンディング障害への対応
根本先生:出産後、母親として子どもに愛情が湧かない、いわゆるボンディングに課題を抱えているケースには、どのような対応が望ましいでしょうか。
清野先生:ボンディングが形成されないことを話すのは、母親にとって勇気が要ることです。赤ちゃんが可愛くないとか、赤ちゃんと二人でいると不安だとか、そういったことを話せる場があることがとても大事であり、私たち精神科医はそれを一切否定せず、そう思うに至った背景に目を向けてほしいと思います。よくあるのは過去の虐待的な体験や夫との関係性、あるいは自閉スペクトラム症があり、育児や母親という役割に対して違和感を持つケースです。赤ちゃんを可愛いと感じられないまま世話をするのは非常に大変なので、様々な支援を利用しながら、困難な状況を乗り越えられるように、母親を支援することが大切です。
根本先生:うつの症状が改善されると、急に子どもを可愛く思える人も多いですね。
清野先生:そのボンディング障害の背景にうつ病などの精神疾患の影響がうかがわれるならば、薬物療法も含めて治療をすることで子どもに対する感情や認知が変わるかもしれないという、「見通し」を伝えることも重要だと思います。
Topic4:産後うつ病の特徴的な症状への対応
根本先生:産後うつ病では、ポロポロ涙を流したり、夫に対してイライラするなど特徴的な症状があると感じています。私は初めの頃、夫へのイライラは夫婦の問題であり精神科の問題ではないと思っていた時期がありましたが、経験を重ねるにつれ、これは産後うつの症状の一つだということに気づき、治療すると良くなることで、実際にやはりそうなのだと学びました。お二人は産後うつ病の患者さんを診る際、一般的なうつ病との違いを感じることや気にかけていることはありますか?
菊地先生:確かに涙を流しながら診察室に入ってこられる患者さんもいます。産後うつ病の診察で、特に大事にしているのは、自責感の評価です。産後うつ病の患者さんの中には、自分が母親としてうまくできていないと感じ、自責的な思いを抱えている方が多くいらっしゃいますので、こちらから丁寧にお聞きするようにしています。自責感が強くなると、自殺念慮を抱いたり、自殺企図に至ったりすることもありますので、特に注意するようにしています。
清野先生:母親として「こうあらねばならない」という思いが強くなるとともに、パートナーに対しても、「こうあってほしい」という期待感が高まる時期でもあります。父親には前述の「母親脳」のような変化が遅れてやってくるため、なかなか母親のようにきめ細かい育児ができず、そういう父親に対して母親が腹が立ったり、イライラしたりすることがあります。しかし、そういった苛立ちやパートナーにしてほしいことは言葉にしないと伝わらないため、どう言えば良いかを一緒に考えるようにしています。
根本先生:私は理想と現実のギャップに苦しんでいる方に対して、「まだ母親になって2日目でしょ。何十年も母親をやっている人と比較しないようにね」と話すようにしています。
Topic5:産後パパ育休を取得する男性へのアドバイス
菊地先生:産後の生活を具体的にイメージしてもらうことが大切だと思います。例えば、2、3時間おきに授乳する生活になるということ自体、あまりイメージできていない方もいらっしゃいます。産後は生活が大きく変わりますが、特に睡眠不足になるということが、ご夫婦にとって負担になります。お互いにどう助け合えるかについて、例えば「お母さんが9時に授乳して、次はお父さんが12時、次はお母さんが3時」というように、具体的なお話をします。このような話を通して、産後の育児生活のイメージを持ってもらい、夫婦がどのように協力して育児に取り組むかを調整するお手伝いをしたいと考えています。
根本先生:生活のリズムを示しながら、パートナーに対する期待感を言語化し、具体的に何ができるのか考えてもらうのですね。
清野先生:一般的な父親は、目の前で困っている、不安になっている母親に対して、問題解決的なアプローチをしがちです。でも、母親は的確なアドバイスよりも先に「辛かったね、頑張ったんだね」と気持ちを受け止めてもらうことを望んでいることが多いです。精神疾患としてうつ病や双極症を持っている場合は特に休養が重要なため、とにかく休ませて、寝かせてあげてほしいとお願いしています。また、お父さんのメンタルヘルスも大事なので、例えば、赤ちゃんがなぜ泣いているかがわからずパニックになったり不安になったりした時は、遠慮なく身近な保健師や精神科医に相談することを勧めています。
Topic6:周産期メンタルヘルスにおける精神科医の役割
根本先生:最後に、精神科医が妊産婦を診療する際の心構えや担う役割についてのお考えをお聞かせください。妊産婦の中には助産師や保健師のアドバイスを「そうしなければならない」と思い込み、それができなかった場合に自分を否定されたように感じて傷つく人もいます。私たちが関わることで、そうした体験を少しでも減らせるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
清野先生:コロナ禍では自分が思い描いていたような出産ができず、うつになる人も多かったと思います。妊娠・出産は人生の大きな節目ですから、色々なことを自分で決めることがとても大事です。周産期メンタルヘルスに関わる精神科医は、妊産婦の自律的な決定を尊重し、全面的に支える役割を担っていく必要があると思います。そのうえで、育児への不安や子どもが可愛くないなどのネガティブな感情を引き受ける場所として、精神科外来が機能するのが良いと思います。
菊地先生:妊娠中から産後の育児が落ち着くまで、多くの職種が関わります。精神疾患や養育上の困難を抱える方の中には、新たに出会う支援者とすぐに信頼関係を築くことが難しい方もいます。特に長期的な支援者となる地域の保健師との関係性は重要ですので、必要に応じて、精神科医がその橋渡しをできれば良いと思っています。
根本先生: 今のお話を聞いて、私たち精神科医ができることは、妊産婦の患者さんや家族を癒すだけでなく、助産師や保健師などの支援者を労うことも大切な仕事だと思いました。
ウェビナーを振り返って
根本先生:今回ご講演いただいたお二人とは長い付き合いで、日頃からよく相談し合う仲ですが、私も今日はとても勉強になりました。精神科医の基本は、支持的精神療法ですが、お二人の話を聞いて、改めてそう思いました。聴講された先生方にも、周産期の心理的な変化やその背景にあるものと実際に受けられるサポートを知っていただき、臨床のヒントや収穫となれば嬉しく思います。また、清野先生がおっしゃる通り、男性は問題解決のためのアドバイスをしがちです。医師も困っている患者さんを何とかしたくて、つい指導してしまいますが、自らを戒めなければいけませんね。
菊地先生:精神科医として、妊産婦特有の心理を理解し、様々な心理社会的支援を通じて、母親になる過程に立ち会えることは、この領域ならではのやりがいであると感じています。患者さんが周産期に体験したことや感じたことは、母親になってからも長く心に残り、その後の人生に大きな影響を与えるでしょう。妊娠出産の時期に関わるのは総合病院の精神科医が中心であると考えられることも多いですが、ぜひ多くの精神科医の先生方に周産期メンタルヘルスに関心を寄せていただき、その後の長い育児期間を含めて、患者さんが親となる・親である側面を支えていただきたいと思います。
清野先生:周産期メンタルヘルスは、精神科医の参画がまだまだ少ない領域です。関心を持っていただいた先生方には、これを機に力を貸していただきたいと思います。女性にとって周産期の心理的危機をうまく乗り越えていくことは、その人自身と家族の健康や幸せにおいて非常に重要です。母親のメンタルが安定すると、特に子どもの発達や発育に良い影響があります。妊娠中や授乳中は薬物療法に頼らず、辛くても我慢したほうが子どもにとって良いだろうと考えがちですが、母親が早く楽になり、幸せになることこそが、子どものメンタルや身体の健康にプラスになります。そのことを精神科医の皆さんや他職種の支援者の方々と一緒に、妊産婦やそのご家族に伝えていきたいです。